実際に経験した談合事例

それでは、私のマンション管理士事務所実際に経験した談合に関する事例をご紹介します。

※私のブログ「マンション大規模修繕工事における談合の実態について」からの転載・加筆記事です

事例1:管理会社が主導したと思われる談合

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これは、管理会社が音頭をとって談合が行われたと思われる事例です。

事業スタイルは、CM方式といわれるもので、管理組合が工事業者を選定し、工事業者は、管理会社の下で工事を行い、設計(仕様等の決定)と工事監理を管理会社が行うという方式です。

元請は管理会社ですが、管理組合が工事業者を選定するので業者に対する発注価格と管理会社に支払う監理報酬がオープンとなり、透明性が高く、且つ工事に対する全ての責任は元請となる管理会社が負うので管理組合も安心できる発注方式というのがうたい文句です。

ところが、見積を取得する工事業者のリストアップ等は全て管理会社が提案し、いわゆる「管理会社主導」で行われました
その後、工事業者からの見積取得作業が行われましたが、ご覧のようにほぼ横一線に並んだ価格が提出されています。
また、これだけの工事金額の割には見積を取得した業者数が3社というのも少ない気がします。

この一覧表を見た当時の理事長が疑問に思い私の事務所に相談に来られたのがきっかけでした。

事例2:設計事務所が主導したと思われる談合

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これは、設計事務所が音頭をとって談合がおこなわれたと思われる事例です。

この管理組合は、大規模修繕工事の事業スタイルを「設計監理方式」で進めることを決定し、設計事務所も公募で選定しました。

そこまでは順調に進んでいたのですが、ところがその後、新聞で公募した工事業者8社から見積を取得したのですが、ご覧のとおり設計価格に対して83%〜100%の間で横並びの金額がでてきました。

いろいろな事情があるので、ここではあまり詳しいことまでは書けませんが、私の詳細な分析によると、設計事務所が設計価格を業者に漏洩して談合が行われたことは間違いありません。

私は、談合が行われたことを理事会に報告・進言し、上記の8社は当然に全社失格となりました。

事例3:談合なしor不成立と思われるもの

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これは、談合が行われなかった、又は談合が不成立に終わったと思われる事例です。

これも「設計監理方式」で、事業を進めることで決定していた物件です。
新聞で公募したら、応募した工事業者は20社近くあり、その中から9社を選定して見積依頼をしたものです。

私の分析によると、当初は談合を行う予定で募集した業者も結構いたはずです。
上記のH社やI社など、ほぼ設計価格に近い金額で提示してきた業者はたぶん談合目的で応募してきた業者です。
管理組合は、当初予定していた予算に近い金額で見積を提出した上位3業者(A~C社)を呼んでプレゼンテーション(ヒアリング)を実施もらうことにし、最終的なネゴシエーションの結果38,325,000円(設計価格の68.6%)を提示した業者と契約しました。

この物件も当マンション管理士事務所が計画当初からかかわっていたものですが、談合をされずに適正な価格で発注できた事例です。
理事会や修繕委員会には大いに感謝されました。

3つほど具体的な談合事例をご覧いただきましたが、そもそも談合はなぜ起こるのでしょうか?
防ぐことはできないのでしょうか?

大切な修繕積立金を守るためにも、まずは次のページ(なぜ談合が起こるのか?)で、その要因からご説明いたします。

ノーリベート宣言!(マンション管理士事務所初)

当マンション管理士事務所では、「当事務所及び所員が業務に際し受領する報酬は、顧客からの報酬のみとし<、関連業者からのリベート・インセンティブ等は一切受け取らない。」という倫理規定と共に、業界初となる「No リベート宣言!もさせていただいております。